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果てのない海に呑まれて
第11章 救い
自分が−−−
「前に聞いたわ。ファルツ家に……レオンに仕えている人のほとんどは昔孤児だったりしたって」
「ああ」
「貴方も?」
「……」
ミゲルは黙ってしまった
海岸沿いの道を歩く二人の足音がやたらに大きく聞こえる
ニノも疲れたのかミゲルの上で大人しくなっていた
“聞いちゃいけなかったかしら……”
誰にでも聞かれたくない過去の一つや二つあるだろう
リリアは申し訳なさそうに口を開いた
だが先に声を発したのは、ミゲルだった
「俺はこいつのような家のない孤児ではなかった。幼い頃に孤児院に入れられ、そこで八つまで育った」
「ぁ…ならご両親や家を……」
“私と同じように?”
「いや、俺の父は生きている。家もある。多分な。少なくとも俺が母と追い出された頃にはそうだった」
「追い出された?」
「ああ……ジェーニオ様が言っていたことを覚えているか?」
リリアは躊躇いながらゆっくりと頷いた
「野蛮人とか…肌がもう少し……」
そこまで言ってはっとする
「もしかして貴方は……」