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果てのない海に呑まれて
第11章 救い
四つの頃だったという
「酷い……」
「ま、今はこうして生きているわけだし、何とも思わないがな」
ミゲルは笑った
本当に何とも思っていないような笑いだった
“どうして?”
そんなにも辛い道を歩んできて、今でさえ虐げられて、何故そんな風に笑える
そう思いリリアが見つめる彼の視線の先には、ファルツ家の大きな屋敷があった
“あ、もしかして……”
彼を救ったのは、ファルツ家だったのだろうか
レオン、だったのだろうか−−−
「ところでさっきからコイツが静か過ぎる気がするんだが」
「寝てるわ。もう少し優しく抱いてあげて」
「これからかのファルツ家に入るというのに、肝が据わった奴だな」
ミゲルはため息半分、笑い半分でニノを肩から下ろして横抱きに抱えた
「ミゲル、遅かったな」
中に入るとちょうどレオンの別の側近が通りかかった
彼の目はすぐにミゲルの腕の中に向けられる
「“いつもの”か?」
「ああ、“いつもの”だ。頼む」
ミゲルはニノをその男に託すと、レオンは何処かと聞いた
「あの方ならお母上に会ったばかりだぞ」
「そうか、分かった」