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果てのない海に呑まれて
第12章 喧嘩するほど–––
何を思ったのか、レオンは突然立ち上がって書斎を出て行こうとした
当然出口にいた側近が慌てて止める
「レオン様、いけません。書斎にいないのがバレたらまたミゲルに叱られますよ」
「今は外にいるのだろう。だいたい、お前の主人はミゲルか? それとも私か?」
「そ、それは……しかし、たとえ命に逆らってでも主人を守り善き方向へと導くのが下の者の務めでもあります」
レオンはめんどくさそうにその側近をじっと見た
「……?」
「お前は私に、生理的なものまで我慢しろというのか?」
「は?……あ」
側近の顔が少し恥ずかしげに俯く
「も、申し訳ありません」
レオンはふんと鼻を鳴らすと目的の場所まで行こうと歩き出した
「……」
「……」
「……何故ついてくる」
「私はミゲルの代わりですから」
レオンはミゲルの仕事の良さに苛々と舌打ちする
そのうち"ミゲル"が三人にも四人にも増えるんじゃないだろうか