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果てのない海に呑まれて
第12章 喧嘩するほど–––
ミゲルは顔をしかめてドアの方を向いた
「……それにしては静かだな。
というか、俺はお前に絶対に奴を出すなと言わなかったか?」
男は情けない顔をしてミゲルにこうなった経緯を話す
聞いているうちにミゲルの顔は怒りを通り越して呆れに変わっていた
「お前それでのこのことアイツを連れ出したのか?
全く……これを見ろ」
ミゲルが鍵の掛かったドアを思い切り蹴り開ける
その音の大きさから彼が内心どれほど腹を立てているかが窺えた
「ハァ……やっぱりな」
中にはレオンはおろか、リリアの姿までなかった
白いシーツが外に投げ出されて風に揺れているだけ。
「す、すまない……俺としたことが」
「まぁ仕方ない。俺も最初はよくこうして騙されていたからな。何処に行ったかもだいたい見当がつく」
ミゲルは顔色をなくした男を慰めるようにその肩を叩く
「だが最近この辺りを見知らぬ人間がうろついていると聞いたからな……急ぐぞ」
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