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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
口煩い側付き
昔から涼しい顔をして隙のないアイツ
自分のことを何でも分かっているというあの態度が気に食わない
それを目にする度、時折ひどく殴りたくなることがある
「いいぞ、やれやれ!」
「おい、負けるな! そこに打ち込め!」
側近たちの集まる部屋からは何やら楽しげな声が響いてきていた
「随分騒がしいな。剣術の稽古か」
「レオン様!」
「ちょうど私も体が鈍っていたんだ。仲間に入れてくれ」
レオンは着ていた毛皮の羽織を脱ぎながら彼らを見渡す
誰かが相手に名乗り出るのを待っているのだ
「え、えと、それは……」
「なんだ、私だけ仲間外れか?」
側近たちは困ったように顔を見合わせる
その時、奥に座っていたミゲルが呆れたように言った
「誰もお前の相手なんかしたがるわけないだろう。怪我をさせるわけにもいかんし、だからといって手加減すれば腹を立てるのだからな」
「……」
曲げた片足を椅子の上に乗せ顎を預けながら笑っているミゲル
ーーー気に食わない