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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
レオンは傍にあった稽古用の剣を二本手に取ると、その内の一本をミゲルの方へ投げて寄越した
「それは本気を出せば私に怪我を負わせられると思っているんだな。
やってみせろ」
「……」
ミゲルは音を立てて足元に転がった剣とレオンを交互に見比べる
苛立ったようなその瞳、まだこの前のことを根に持っているのか
ーーー面倒臭い奴
「仕方ないな。我が儘な餓鬼は痛い目を見ないと分からないらしい」
ミゲルは立ち上がってその剣を取り、レオンと対峙した
顔には挑発するような笑みを浮かべている
レオンは剣の柄をぎゅっと握り締めた
「二度とそんな舐めた口は利かせないからな!」
大きく振りかぶってミゲルに打ち込む
それを受け止めながらミゲルは後ろに下がった
次々と繰り出される攻撃に押されているように見えるが、その目はレオンの体に一瞬出来た隙を見逃さなかった
「……っ!」
レオンは水平に流れてきた剣を頭を低くしてかわし、今度は下から胴を狙いに行く
二人の剣がまた激しくぶつかった
そして互いを押し退けるようにして飛び下がる
その時だった