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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
「熱……っ!」
足が暖炉の灰の中に突っ込み、レオンがそれに気を取られた
ミゲルがここぞとばかりに猛攻を仕掛ける
「なっ…待て、まだ……!」
「待てと言われて待つとでも?
お前それでも"赤の魔物"か?」
態勢を立て直す暇もなく、レオンは避けるだけで精一杯
ミゲルの剣先が何度も体を掠める
「お前っ……私に恨みでもあるのか!?」
レオンは何とか机の反対側に回り込み時間を稼ごうとした
しかしミゲルは平気でそれを乗り越えてくる
本当に、実戦のような容赦の無さだ
互いに牽制し合うレオンとミゲル
「お前が本気でこいと言ったからな」
「だからといって……!」
「それに、そんなに俺をぶちのめしたいって顔されたら返り討ちにしてやりたくなってな!」
「クッ…!」
二人の剣がカタカタと音を立てる
レオンは心の中で舌打ちした
本気でとは言ったが、まさか剣術の作法を無視して完全なる戦闘態勢でくるとは。
"油断したな……"
レオンの目付きが変わる
「そっちがその気なら此方もそうするが……後で泣きついたりするなよ!」
「ぐ……!」
レオンがミゲルの足を蹴りつけ、ミゲルが一瞬バランスを崩す
一瞬ーーーそれだけで充分
魔物の牙が獲物目掛けて一気に襲い掛かった