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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
「何をやっているの!?」
悲鳴に近いその声に二人の動きがぴたりと止まる
ミゲルの頭にはレオンの、レオンの胸にはミゲルの切っ先があと僅かという距離であった
「何を…やっているの……」
二人の本気を何となく感じ取ったのだろう
リリアは血の気の引いた顔で入り口に立ち尽くしていた
「……ただの稽古だ」
レオンは剣を引いてミゲルに渡す
二人とも多少息を切らしてはいるものの、先ほどまでの猛々しさはもうなかった
「大口を叩いた割にこの程度か」
「ハッ、追い詰められて泣きそうな顔していたくせに」
レオンはじろりとミゲルを睨み付ける
二人はしばらく真顔でいてから−−−フッと口を緩めた
「次やる時は叩きのめしてやるからな」
レオンは半分冗談、だが半分は本気の感じでそう言うとリリアの方を向く
「何かあったのか?」
「別にそういうわけでは……ただ、起きたら貴方がいなかったから」
「クッ…そうか、私がいないとそんなに不安か」
「なっ……そういう意味じゃないわよ!」