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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
全く、相変わらずの自信家だ
「素直じゃないな。まぁいい、ちょうど男ばかりむさ苦しい場所に嫌気が差していたところだ。部屋で二人きり、ゆっくり過ごすとしようか」
レオンはリリアの手を取って自室へと向かった
「ねぇ、どうしてあんなことをするの?」
半ば強引に連れられたリリアは廊下を歩きながら彼に尋ねる
「あんなこと? さっきのミゲルとの稽古か?」
「……稽古って感じじゃなかった」
「別に、ただ少し熱が入り過ぎただけだ」
「……」
扉を開けながら目も合わせずに言うレオンにリリアは納得いかない様子
「剣なんかなければ……争いも生まれないのに」
剣を構え自分の盾になった父の姿を思い出して目を伏せる
「それは違うな。剣があるから争いが起こるのではなく、争いの為に剣が生み出されたんだ。人間は争わずにはいられないらしい……重要なのは、仕方がないことだからやっても良いなどと思わないことだ」
「でも……」
“それならなぜ貴方は剣を取るの?”
「だが温いことばかりも言ってられん。やらなければやられる。身を守る為にも力は必要だ」