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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
二人は普段リリアやミゲルたちが食事を取る少し質素な部屋に向かった
そこにはいつもより少し豪華な料理が三人分、テーブルの上に並べられている
「ミゲルは?」
当然ながら一人分多いのは彼のものだろうと推測しリリアは首を傾げた
「私がお前を探しに出るまではいたんだがな……」
レオンも同様に眉を寄せて部屋を見渡す
ふと、彼の目がミゲルの席に置かれた皿の辺りで止まった
「奴の分のグラスがない……あいつ、飲み物だけ持ってどこへ行ったんだ?」
訝しげな顔をしつつもレオンはさっさと食卓につく
「まぁいい。先に始めよう」
「いいの?」
「口煩いのがいないのは大歓迎だ」
冗談めかして言い、リリアに杯を持たせる
「神の子の生誕に」
「神に感謝」
今日は神の御子がこの世に現れたとされる日
厳かに祝い、祈りを捧げる日だ
二人はグラスに注がれたブドウ酒で乾杯すると、その杯を傾けて喉に流し込もうとした