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果てのない海に呑まれて
第14章 契り夜
彼女の頬を雫が流れる
月明かりにきらりと光ったそれを見てレオンは彼女の背に腕を回した
「死ぬなと……そう言ったのか?」
頷くリリア
「私を殺すつもりでここまで来たのではなかったか?」
「それは……!」
パッと顔を上げた彼女の瞳がレオンを射抜く
「最初はそうだったけど…でも……っ!」
「フ……分かっている。少し意地の悪い質問だったな」
「なっ……馬鹿!」
怒ったのか再び顔を沈めるリリアの髪をレオンは優しく梳いた
「私が死ぬなどと、本気で思っているのか?」
「だって……現に今日殺され掛けたじゃない!」
殺されるーーー
自分で発したその言葉の意味が自身にはっきりと届いた時、リリアの嗚咽がさらに激しくなった
「死なないで…私を残して逝かないで……!」
「リリア……」
「死んじゃ嫌……もう誰かが死ぬのは…!」
「リリア!」
レオンはそんな彼女を落ち着かせるように強く抱き締める
「そんなに泣くな……まだ死んでもいないのに」
「……ッ」
「お前に求めるよう何度も言ったのに…ようやく求められるようになったというのに……そう簡単にお前から離れるものか」