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果てのない海に呑まれて
第14章 契り夜



「……」

「ご、ごめんなさい! 盗み聞きするつもりはなかったの!

ただ二人の声が少しだけ聞こえてしまって……」



恐る恐る目を上げると、レオンは何も言わずに見つめ返してくる

リリアはびくりと身を竦めて急いで目を逸らした



「言い訳だわ…ごめんなさい……」

「……気になることとは?」



説明しようとして、リリアは一瞬躊躇う

今朝の出来事は勝手に人に話すにしては余りにもジェーニオの心に踏み入ってしまってはいないだろうか



「それは……」



迷った挙げ句、リリアは不安を覚えた最後の一言だけをレオンに伝えることにした







「……なるほどな。あいつがそんなことを言っていたか」

「疑うつもりはないの! ただ…直後にあんなことになったから……」

「いや、別に疑われても仕方ない。だが犯人というには確かに不十分だな。あいつの憎まれ口はいつものことだ」

「そ、そう……」



弟に自分の悪口を言われても大して気にならないらしい

−−−哀しい兄弟だ


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