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果てのない海に呑まれて
第15章 春のキザシ



「私の護衛はどうするつもりだ?」

「……〜〜〜っ」



ミゲルは声にならない叫びを上げて顔を覆う

レオンはリリアを離すと笑いながらミゲルに顔を近付けた



「…ーーー……」

「……!」



そして何事かを囁いたが、それはリリアの位置からは見えなかった

ただ、一瞬でミゲルの表情がーーー目付きが変わったのにだけ気が付く



"……?"



「ハァ…仕方ないな……」

「リリア、私は少し古い友人に挨拶に行って来る。ミゲルとそこら辺を見て廻っていろ」

「えっ、いいけど…でも……」

「大丈夫だ、このくらい浮気にはならん」

「そうじゃなくて……」

「一言多いぞ! さっさと行け!」



ミゲルに背中を押され、レオンはあっという間に人混みに呑まれてしまった



「さて、煩い奴もいなくなったことだし……行くか」

「ねぇ、大丈夫なの?」

「だから恋人など……」

「違うわ。レオンのことよ! 護衛の貴方が付いてなくて危なくないのかって」



リリアの脳裏には先ほどミゲルの瞳に浮かんだ鋭い光と、今朝のレオンのキツい表情が焼き付いていた

何となく、ただ事ではないような気がする


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