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果てのない海に呑まれて
第15章 春のキザシ
「……お前が気にすることじゃない」
「何よ……私だけ除け者ってわけね」
「……」
文句を言うリリアをミゲルは少しの間黙って眺める
そしておもむろに口を開いた
「何故そんなにレオンのことが気になる?」
「えっ…そ、それは……心配だからよ」
「本当に?」
ミゲルの質問の意図が分からずリリアは顔をしかめる
そして彼の自分を見る瞳にびくりと体を震わせた
「……っ」
冷たい、刺すような視線ーーー
出会った頃ナイフを突き付けてきた彼のものだ
思わずミゲルの手の方を確認する
「……いや、もう良い。せっかくの祭りだ。しばらくあいつのことは忘れて楽しめ」
ミゲルはリリアに背を向けると、ついてこいと合図してレオンが消えたのとは反対の方向へとリリアを連れて行ったーーー
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