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果てのない海に呑まれて
第16章 相容れぬ心
「失礼致しました。レオン様にその気がないことは良く分かっているのですよ。
ただそうでない者もいることは事実……あまりやり過ぎると余計に疑いの種を蒔くことになります。お兄様の二の舞にならぬよう、周りには常に気をつけてお過ごし下さい」
「ご心配痛み入ります」
レオンは軽く受け流すように頭を下げ、笑みを浮かべて返す
「ですが、私にばかり気を使っていては母上の身が危うくなりかねませんよ。
例えばそう……私に何かあった時などにね」
その言葉にカタリナは唇を噛んでわなわなと震えた
邪魔な男だーーー
だが何も言うことなくツンと背を向けるとさっさと廊下の奥へ消えて行った
「ハァ…」
「相変わらず苦労しているようだな、あの方には。
今回の件、本当に関わっていないのか怪しいところだ」
ずっと潜んでいたのだろう、ミゲルが笑いながら暗がりから姿を現す
だが切れ長の瞳はカタリナが去って行った方へ鋭く向けられていた
「いや、わかりやすい分まだ可愛げがあるさ。あれだけ敵意を剥き出しにしてくるくらいだから、実際コトを起こすのは無理だと思うが?」
「……」
「まぁ行けば分かることだ」
「……行くといえば」
ミゲルは呆れたような顔になってレオンを見る
「お前、リリアに出発のこと伝えていないだろう」