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果てのない海に呑まれて
第16章 相容れぬ心

何かに気付いたようにパッと笑顔を見せた
「悪いがシエラではない」
そうくると分かっていたようにレオンは即、彼女の考えを否定した
目に見えてがっかりするリリア
「じゃあどこへ行くの?」
「リーディエだ。ソーサレス半島の東側、水上に浮かぶ芸術の都だ」
絵を見たことがある
その街は建物の間を運河が走り、どこへ行くにも舟が欠かせないのだという
「長旅ではない。一日あれば着く場所だ。だから……」
「……?」
レオンは共に来て欲しいなどと今さら頼むことは出来なかった
出会ってから一度もそんな風に聞いてやったことはないからーーー
では何故今になって言おうと思ったか
それは二日前のあの事件が関係していた
「……他の船と遭遇することもないだろう」
"…ああ……"
そういうことか
何を言いづらそうにしているのかと思えばーーー
「行くわ」
「っ…そうか……」
レオンは少しほっとしたように眉尻を下げた
「では今夜はゆっくり休め。明日の朝早くに港を発つ」
そう言うと、まだ仕事があるからと自分の部屋に戻って行った

