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果てのない海に呑まれて
第17章 細波
その言葉にミゲルは僅かに首を傾げた
それは、レオンの言う通り持っていて良いかという意味か
彼女がどんな理由であれ人を傷付ける物を嫌っているのは知っていた
あるいは、単に持て余しているのか
男の場合と違って、女性の服には剣を携えるべきところがないからだ
"…どちらにしても同じことか……"
自分がすることは変わらない
ミゲルは近くの人間に声を掛けて何やら指示を出し始めた
頼まれた方はすぐに頷き、走って何かを持ってきた
「これを付けると良い。まあ、慣れるまで剣を抜くのにもたつくかもしれないが」
差し出されたのは、短剣用のベルト
だが長さが異様に短い
「私、こんなに腰細くないんですけども」
「これは腰用じゃない。脚だ」
「え、脚……!?」
「貸してみろ」
ミゲルはリリアの手から剣を取り上げると、それをベルトに取り付けた
「ねぇ、普通に貴方達と同じやつでいいのだけど……」
「女が剣なんぞぶら下げて歩いていたら良い見世物になるだろうな」
そして彼女の前に跪きーーー
「え、ちょ! 何するのよ!」
「どうせ付け方も知らんのだろう。しばらくじっと……」