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果てのない海に呑まれて
第17章 細波
ガツンッ!
「ぐっ……!」
リリアの膝がまともに頬に入りミゲルは顔を仰け反らせた
「変態!」
「お前が頼んできたからだろう!」
「だからってこんな場所でいきなり……」
「出発前の仲違いは好ましくないな」
怒鳴り合う二人の間にレオンが立ち、じっとミゲルを見下ろしている
「随分情けない格好をしているじゃないか、ミゲル。え? 良い眺めだ」
「これはただ…っ……女が膝蹴りを入れてくるなんて思うか普通!?」
「あんな風に突然ドレスの裾を捲られて、そうしない方がおかしいわよ!」
「ほぉ」
レオンは眉を吊り上げ、わざと軽蔑するような眼差しを向けた
「お前、気に入った相手は所構わず襲うような奴だったのか。それは知らなかったな。
これは側付き解任も考えねばならんな……」
「違う! 俺はこいつに、お前が持っておけと言った短剣をつけさせようとしただけだ!」
「どうなんだ、リリア?」
「それはそうだけど…でもまさかこんな……」
「あの!」
三人のやり取りをぶった切るように掛けられた大声
「船員たちが港でレオン様はまだかって言ってました!」
人に仕える者としては余りにも無礼な、そして幼い声ーーー