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果てのない海に呑まれて
第18章 訣別

「まさか私の方が悪戯されそうになるとはな」
レオンが離れると、リリアの顔は真っ赤に染まっていた
「少し待っていろ。今ミゲルに頼んだものを持ってくる」
リリアをからかって一頻り笑うと、レオンはそう言って甲板へと出て行った
「どうだ、良いものはあったか」
「まぁリーディエだからな。さすがに染色の技術なども高い」
レオンはミゲルからいくつか品物を受け取ると見比べるように左右に掲げた
「ほう、お前にしては良いセンスではないか」
「馬鹿にしているのか……」
気になるものがあったのか、レオンはその内の一つにふと目を止めた
「…ああ……これは良いな。前も似た色の物に興味を示していたし……これにする」
観光に来たかのように楽しげに振る舞うレオンにミゲルが静かな声で忠告した
「ここに来た目的を忘れていないだろうな。もう報告すべき事項も充分に集まっているんだが」
「もちろん、分かっているさ。これが済んだらルチアーノにも会う」
そう言いながら後ろ手に手を振って部屋に戻るレオンの姿はどうにも信用出来ないがーーー
"…やるべき時はやる奴だし……心配はないか"
ミゲルは大人しく主人が出てくるのを部屋の外で待つことにしたのだった

