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果てのない海に呑まれて
第3章 レオンという男
「それで、何者なんだ」
「名前はリリア・デ・ギスタール」
「ギスタール……生き残りがいたのか」
ミゲルの顔がさらに険しくなる
「なぜ港で言わなかった。これでは裏切りと取られかねないぞ」
「バレなければ問題ない」
「……」
にやりと笑ってみせるレオンをじっと見つめ–––ミゲルは深いため息をついた
「まぁお前がそういうなら別にいい。だが少しは乗組員のことも考えてやれ」
そう言って甲板で働く男たちの方へ顎をしゃくる
「……? 何か問題があるのか?」
見たところいつもと変わりない
あまりに無頓着なその様子にミゲルは仕方なく数人の男たちを呼んだ
「なんでしょうか」
「いや、呼んだのはミゲルなんだが……お前たち、何か私に言いたいことがあるのか?」
男たちは驚き、おずおずと顔を見合わせた
「……いえ、特には」
「なんだ、何もないじゃないか」
レオンは気を回しすぎだとミゲルのことを笑う
「いや、そこを追及してやれよ……」
ミゲルは逆に表面通りにしか受け取らないレオンに呆れ果てていた
「お前たちも」
今度は乗組員の方に顔を向ける