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果てのない海に呑まれて
第19章 芸術の都
「レオン様、お久し振りで御座います」
「ルチアーノ、元気そうで何よりだ」
リリアが船から降りた時、レオンは彼女の見知らぬ男と話しているところだった
がっしりとした頑強そうな体に、笑ってはいるが常に周囲を警戒するような眼。
そしてミゲルと同じに首周りまである黒い服ーーー
ファルツ家の人間だと一目で分かる
そしてこの数ヵ月ずっと傍にいたリリアは、レオンの雰囲気から二人が重要な話をしているのだと気付く
"邪魔しちゃいけないわね……"
そう思って港に並ぶ屋台の方へ行ってみることにした
「おめぇさん、この辺じゃ見掛けない顔だな。どっから来た?」
とある小物屋の前を通り掛かると、その店の主人がそう尋ねてきた
無精髭を生やしてはいるが気の良さそうな男だ
「シエ……アウスグライヒからよ。あの人たちと一緒に」
そう言ってレオンたちのいる方を指す