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果てのない海に呑まれて
第19章 芸術の都
「へぇ、てことはファルツの人かい? ファルツってのは女も取引先に連れてくんだなぁ。
ま、女ってのはやたらに頭がいいし、しかもこんな美人ときちゃあどんな男でもオチらぁな」
「いえ…そういうわけじゃないけれど……」
レオンはそういう目的で自分を連れてきた訳ではないーーーと思いたい
「なぁ嬢ちゃん、この小箱一つやるよ。オラの自信作なんだ」
「え、そんな凄いもの……」
精巧な彫り細工が施された小物入れを手渡されて戸惑うリリア
「いいんだよ! その代わり、オラのことしっかり売り込んでくれりゃあよ!
あの事件以来ファルツ様がこのリーディエにとって一番のお得意さんになったからしっかり売り込んでいかねぇと」
「あの事件……て?」
聞き返すリリアに男は顔をしかめる
「あんた、ファルツの人間なのになんでんなことも知らねぇんだ?」
「さ、最近仕え始めたばかりだから……」