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果てのない海に呑まれて
第19章 芸術の都
「お前が心配だからに決まっているだろう!」
レオンの言葉にリリアは目をしばたたいた
そしてその真っ直ぐな瞳に、少しでも彼を疑ったことを後悔する
「……ごめんなさい」
「ハァ……何事もなかったのなら良かった。
いいか、この街は今私たちにとって必ずしも安全とはいえない。それに、もともと安全なわけでもない」
昨日の襲撃のことを思い出し、リリアはハッと息を呑んだ
「芸術性の高い人間にはおかしなヤツも多い。以前訪れた時にはミゲルと二人、男色をやってくれと変な男に絡まれた」
「ええっ!? 確かに絵になりそうだけれど……」
そう言って小さく笑うリリアをミゲルがじろりと睨む
「だから早く船に……」
レオンがそう言いかけた時、ミゲルがサッと二人の前に出た
その手は短剣を提げた左腰へと伸びている
「ほら、お出ましだ」
現れた二人の男を前に、レオンは小さく呟いた