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果てのない海に呑まれて
第3章 レオンという男
「ミゲル…いい加減に……」
そう怒鳴りかけたところで、レオンは自分の部屋の戸が僅かに開いていることに気が付いた
「リリア!」
そこから覗く青い瞳に声をかけるも、ドアは慌てて閉じられてしまった
「なんだ、甲板に出た方が気持ち良いのに」
「相当嫌われてるな」
からかうミゲルをチラッと見てからレオンはリリアを追って部屋に入る
「何故出て来ない」
隅で脅えたように丸まるリリアを敢えて見ずにレオンは尋ねた
「誰が貴方の船なんか……」
「もう乗っているんだからそんなことを言っても仕方がないだろう」
入り口近くに置いてあった水瓶の蓋を取り、柄杓で中の水を深皿に移す
「……こんな格好じゃ出られない」
布を取り出してその水に浸していたレオンはその言葉に振り向いてリリアを上から下まで眺めた
「ああ、なるほどな」
そう言うと絞った布をリリアに向かって放り投げる
「それで体を拭け。服を持ってきてやる」
“この船に女物の服なんてあるのかしら……”
出て行くレオンを見送り、リリアは布を持ったまま立ち上がった
そしてそっと水瓶の方へ近づいてゆく