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果てのない海に呑まれて
第21章 寄せては返す–––
「そ、れは……」
破りたくて破ったのではない
でも、自分を傷つけまいとする彼の気持ちを裏切ってしまったのは確かだ
「レオン様ご自身がどうかは分かりませんが……貴方はファルツにとって信用に足る人間ではないのですよ」
「……っ!」
「レオン様の命令を聞かず、あの状況下で動きを見せた。ミゲルに殺されるのは貴方でもおかしくはなかったのですよ」
疑われていたのだーーー
どんなに近くにいても、何度言葉を交わしても、ファルツ家の人間でない限りはーーー
「戻るぞ」
いつの間にかレオンが扉の外に立ち、此方を見ていた
その隣には、出会った頃と同じように冷たい瞳を向けてくるミゲルが。
どうして忘れていたのだろう
どうして気付かなかったのだろうーーー
リリアは二人の顔をまともに見ることが出来なかった