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果てのない海に呑まれて
第21章 寄せては返す–––
「海に出てすぐ、一度だけひどい嵐に遭った。波に船が大きく振れて、いつヤツらに呑まれるかと怖くて堪らなかった」
レオンにも怖いものがあったなんてーーー
「だがその嵐の後、東から昇り出した太陽を見て思った。
海はこんなにも美しかったのかと」
此処で初めて、レオンはリリアの方を見た
その表情は、切なげだった
「お前はまるで海のような……波のような女だ。
惹かれ、離れ、揺れる……そしてまたその美しさに目を奪われる」
「……っ」
リリアの目に、何故だか涙が溢れる
「私も今日一日の間大いに揺れた。お前が飛び出して来た時は、裏切られたと思った。もしかしたら、本当に今でも私の命を狙っていたのではないかとさえ……。
だから今回は痛み分けだ」
「…ぅ……っ」
「……ハァ」
レオンは嗚咽を漏らすリリアを呆れたように笑い、そっとその涙を拭った
「…本当にお前は、私を翻弄してくれる」
「え?……あっ」