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果てのない海に呑まれて
第3章 レオンという男
「ああ……まぁな」
まさか自分の家と繋がりがあるとは思わなかったが、それなら色々知っていることにも頷ける
しかしケチュア人の持ち込む品はどれも非常に値が張るはずだ
リリアは改めて彼の纏う服に目をやり、さらにその手にかけられた深紅のドレスを見た
“綺麗……これって普通に貴族が着る服だわ。この人本当に何者?”
「ああ、これか?」
視線に気付いたレオンがドレスを差し出した
「妹への贈り物だったのだが、多分ちょうど良い大きさだろう」
「え、いいの? そんな大切な物……」
「服は着られなければ意味ないからな」
「……?」
彼の不可思議な言葉に首を傾げながらドレスを受け取る
「……何」
部屋を出ずそのまま立って見ているレオンにリリアは眉をひそめた
「いや、貴族の娘が一人じゃ着られないだろうと思ってな」
「余計なお世話よ! 早く出ていって!」
リリアはぐいぐいと彼の背を押して部屋から出した
「……自分の部屋から追い出された」
レオンは一部始終を聞いていたミゲルに向かってぼやく
「お前の魅力が足りないんだろ」