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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
ルチアーノへの一礼はその謝罪の意であり、今こうして投げ続けるのはどんな状況下にあっても狙った場所を外さない為。
ミゲルにとって、リリアはいつからかファルツの一員だったのだ
ーーー自分でも気付かぬうちに。
「リリアは……あいつは、不思議な奴だ。お前でさえ変えてしまうのだから」
「……レオン」
長い沈黙を終えて、ミゲルがおもむろに口を開いた
「うん?」
「お前、また迷い始めているだろう」
「……何にだ」
「人を傷付け奪うことにだ」
ミゲルは顔を上げ、再び的である藁人形を見る
その横でレオンが眉を寄せ揺れる瞳を伏せた
「……お前が私以上にファルツのことを考えているのはよく分かっている。
だが私は……」