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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
「ならお前は今日一日リリアの馬を引く係だ」
「え……」
「どういうこと?」
リリアは、馬なら自分で扱えると言い掛けてやめた
レオンのしようとしていることがようやく分かったのだ
「リリアに付いてファルツの谷まで同行しろと言っているんだ」
「……っ! はい!」
ニノは顔をパッと輝かせて返事をする
それを見たリリアも嬉しそうににっこりと微笑んでいた
「お前は本当にリリアに甘いな」
二人に聞こえない場所まで来て、ミゲルは呆れ顔でレオンに言った
「馬鹿、それだけならさすがに……それよりニノのお前に対する目が気になってな」
「ああ、あれか……釘を刺してはいるんだが」
「本人が望んでいるなら別にいいんじゃないか?」
「……いや、駄目だ」
きっぱりと言い切るミゲルにレオンは肩を竦める
「そこまで言うならいい。この件はお前に預ける」