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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
はにかむように笑うリリアにレオンは少し不思議そうに首を傾ぐと、何かに気がついたようにスッと背筋を伸ばした
「そろそろ着くぞ。この辺りから昔ファルツと呼ばれていた地域だ」
かつては村などもあったのだろうが、その面影さえも覆い尽くす深い森の中を抜けてゆく
「……っ!」
陽の光を頼りに進むと、一行は突然拓けた場所に出た
「わ、ぁ……」
「ここがファルツの谷……別名ロサエ・ワルス。薔薇の谷だ」
言われるまでもなかった
崖下に咲き乱れる色とりどりの薔薇、バラ、ばら−−−
「綺麗……」
「入ってみるか」
この、薔薇の波に−−−