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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
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翌日ーーー
暖かな陽射しの中で、一人の少女が薔薇と戯れていた
「棘があるから気を付けろ」
「子供扱いしないで。そのくらい分かってるわ」
馬鹿にするように言われ、リリアはレオンからツンと顔を背ける
そして目の前の真っ赤な薔薇に手を伸ばした
「…っ……」
「フン……だから言っただろう」
「こっ、これは…たまたま……」
「ろくに外に出たこともなかったお嬢様が強がるものではないな」
レオンはぷっくりと血の膨れた指を取り、チュッと口に含んだ
「……っ…!」
チュ…チュッ……
「ちょ…そ、そんなにしなくていいから!」
リリアは焦ってレオンから体を離した
「クッ……なんだ、変な気分にでもなったか?」
レオンは意地悪に笑うと、逃げようとするその腰を掴んで引き寄せる
「どうして欲しい? 言ってみろ」
「……別に何もっ」
「可愛くない奴だな……この私が聞いてやっているんだぞ」
そう偉そうに言ってくる彼は、何か答えなければ放してくれそうもない