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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
だが二人きりの世界ではない
そんな熱い二人を見つめる、冷めた視線が二つーーー
「彼女、似ているよね」
「は……?」
突然横に立っていたジェーニオに声を掛けられ、ミゲルは目を丸くした
今までジェーニオからは皮肉の籠もった言葉しか投げられたことがないのだ
「誰に…でしょう?」
驚きながらもちゃんと応えるミゲル
「あれ? 分からない?
彼女と同じに、金髪で碧い瞳を持つ少女……」
「……フローラ様のことをおっしゃっているのでしょうか」
「そうそう。君ならすぐ分かると思ったけどなぁ」
更に薔薇の奥深くに入り姿の遠くなってゆく二人を見ながらジェーニオは首を傾げた
「何故そう思われたのか私には分かりませんが……」
「いやだって最初にあの子が来た頃、フローラを見ていたのと同じ視線で時折彼女を見ていたから。兄上も似たようなところがあったけど……。
君、フローラに惚れていたでしょう。身分もわきまえず」
「……ありえません」
はっきりそう答えながらも、ミゲルの瞳は微かに揺れたような感じがした