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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
「……やっぱり孤児っていうのは行儀が悪いね」
「っ…!?
ケホッ…ケホッ……」
急に茂みの中から出て来た男にリリアはむせ返った
川を挟んで反対側から冷ややかに見つめる男
「あ、あの…これは……」
言い訳しようとしても無駄なこと
川から水を飲んだのは事実なのだから。
「……分からないなぁ」
ジェーニオはリリアを見下ろしたままぼそりと呟いた
「兄上やあの側付きが目を掛けるくらいだからどんな女かとずっと見ていたけど……やっぱりあの人たちのことは理解出来ない」
酷い言い様だったが、この時のリリアには気にならなかった
それよりも、何故かパッと顔を輝かせる
「やっぱり、理解しようとはしていたのね!」
「……は?」
ジェーニオも予想外の反応にかなり面食らった様子。
「貴方はレオンを理解したくて、兄に近付きたくて此処へ来た。そうでしょう?」
「ちがっ……僕はただ、ファルツの一員になるにはと…あ、いや……孤児に夢中になっている兄上が滑稽だったから!」
いきなりのことに慌てているのか
少なくともリリアには言い当てられて焦っているように見えた