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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
「……」
ジェーニオはハッとしたように黙り、自分自身が信じられないとでもいうように口元に手をやった
リリアに目をやると、彼女は嬉しそうに顔をニコニコさせている
ーーージェーニオの表情が、突然冷たくなった
「……なるほどね」
「……?」
「そうやって他人に良いように思い込ませて誑かしてきたんだ。
いかにも孤児らしい下劣なやり口だね」
「なっ…んですって……!」
蔑むような目付きにリリアは今度こそ逆上する
「貴方がそうやって自分にさえ素直にならないからレオンも愛想尽かすのよ!
そうやって全てを他人のせいにするような人の傍には誰もいてくれる訳がないわ!」
「このっ…誰に向かって口を利いてる!」
ジェーニオが怒りに任せてリリアに摑みかかる
足が川に入り大きく水飛沫を上げた