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果てのない海に呑まれて
第23章 夢追う男
「あの、お邪魔ならオレ…わたし、は……」
「いや、いいんだ。私も訊きたいことがたくさんあるし」
フェリペは優しく微笑んでそう言うと、興味深そうに辺りを見回した
「そうだな、まず……船って、どうやって動いているんだ?」
「はい、あそこに張られた帆に風が当たって船を押して……波が……」
クリスの話に頷きながら聞き入っている兄を余所に、拗ねたレオンは一人で船内を動き回り始めた
階段を降りたり上がったり、動かせるものは全て動かそうとしてみたりする
そしてーーー
「……!」
何を発見したのか、ふとレオンの顔に興奮した笑みが浮かんだ
「…船の方向は舵で決めています。面舵と取舵と言って……」
「兄上ー!」
突如として降ってきた呼び掛けにフェリペは驚いて声の主を探した
「レ、レオン!」
ニコニコと笑う弟を見つけた瞬間、フェリペの顔がサッと蒼ざめた
「兄上! ここはとても気持ちが良いです! 一緒に……」
「早く降りないか! どうやってあんなところに……」
「いえ、あれは物見が周りの景色を確認する場所なので、ちゃんと人が行けるようになっているんですよ」
「そ、そうなの……?」
フェリペの焦りは尋常ではない