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果てのない海に呑まれて
第23章 夢追う男
「ええ」
そんな兄の心配を知ってか知らずか、咎められて不貞腐れたレオンはふいとそっぽを向いて降りてくる気配がまるでない
「クリス、悪いんだけど弟を連れ戻しに行ってくれないか? 私は…その……」
「フェリペ様……もしかして高い所が怖いとか?」
「うん……」
フェリペの恥ずかしそうな様子にクリスは初めて自分の方が優っている部分を見つけ、ちょっと良い気になる
「分かりました! オレがレオン様んとこ行ってきます!」
元気よく胸を張ってそう言うと、すぐにレオンの許へと向かった
「……またお前か。今度は何だ」
「レオン様はフェリペ様のことがとても好きなんですね」
「……兄上は私の憧れだ。優しいし、頭良いし……」
座って膝を抱えたレオンは顔を赤らめながらぼそぼそと兄のことを話す
「でもフェリペ様にも出来ないことがある。でしょう?」
「そんなこと分かってる!」
突然剥きになられ、ただ単に高い場所が苦手だということを指していたクリスは呆気に取られた
「…分かってる……兄上はファルツを背負っていくんだから、私なんかにいちいち構ってられないんだ……」