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果てのない海に呑まれて
第24章 始まりは皆
こいつは自分と同じだ、と思ったのだ
「……ああ」
同じーーーそうは思えないほど、二人は対照的に見えた
一方は人懐こく笑みを浮かべ、もう一方は仏頂面で彼の差し出した手を握る
だがそれも束の間、ミゲルは握った手を直ぐに離してしまった
ーーー彼は彼で、何か感じるものがあったらしい
「……なんだ? 気に入らなかったか?」
「いえ、そんなことは」
レオンの質問に即座に答え、頭を下げるミゲル。
完全なる主従関係だ
「では、早速だが船を案内しよう。な、クリス?」
「あー……レオン様、オレ今ちょっと忙しくて……」
クリスは足元に置かれた積み荷にちらりと目をやる
「そう、か……なら仕方ないな。私だけでやろう。
来い、ミゲル」
「はい」
ミゲルに声を掛けて船の方へと向かうレオンに、クリスは小さく笑った
こういう時、彼はとても強引だ
目を輝かせ、その素晴らしさを人に伝えようと必死になる
普段大人を言い負かすほどの優れた側面を見ているからこそ、この子供らしい一面が更に魅力的に思えた