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果てのない海に呑まれて
第24章 始まりは皆



「ここが甲板。甲板の下にあるのが荷を置いておく場所だ。乗組員が寝る場所でもあるな」

「……まさか、レオン様もそこで寝ていらっしゃるんですか?」

「ん……出来ればそうしたいところだが、それは流石に父上が許さなくてな。船尾にあるあの部屋で過ごしている。

あそこは本来船長の為の部屋だ。私の代わりに船長が下甲板で寝ることになったのは本当に申し訳なく思う」

「船長は今どちらに?」



この時ミゲルは既にレオンのあしらい方をなんとなく分かっていた

こうして聞いて欲しそうなことに対して質問を重ねる度、彼は嬉しそうに返してくる

ーーー観察力は人一倍鋭かった



「あそこに……今ちょうど舵の確認をしている男だ。クリストフの父親だよ」



レオンが此方に気が付いた小太りの男に手を振ると、相手は息子そっくりの柔らかい微笑みを向けてきた



「レオン様! 少し舵の調整と装飾を変えてみたんですが、ご覧になりますかい?!」

「本当か!? ああ、もちろんだ!」

「あ、あの……」



船長と大声で言葉を交わし走り出したレオンに、ミゲルは置いてけぼりを食らう



“困ったな……”



数年後には、こんな時ただため息をついて静かにその後ろをついて行くのだが、今の彼は戸惑うばかり。

茫然とその場に立ち尽くしてしまった


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