この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択
とりあえず下船の準備をしているうちに、船は港に入る
「レオン」
久々に陸に降り立ち一息ついたところで、遠くから声が掛けられた
顔を上げたレオンは近づいて来る人物に驚いて目を見開く
「兄上! どうしてここに!?」
先ほどの不安が膨らむのを感じながらも、喜びが抑えられない
「いや、ミゲルに着いたら知らせるよう頼んでいたんだ。可愛い弟が半年でまたどれほど成長したか、早く見たくてね」
「大学は……」
「ファルツが方針転換してまだ日が浅い。父上の側で色々と学ばなくてはいけないことが多いんだよ。
それよりもっとよく顔を……」
フェリペはレオンの肩を引き寄せると、両手で彼の頬をそっと包んだ
「…少しやつれたんじゃないか……?」
「……ほとんどを船の上で過ごしますから、多少は」
レオンは軽い調子で笑ってみせる
「……そうか」
納得のいかないような顔をしつつ、その手を離すフェリペ。
「ならこの冬の間にたくさん食べないと。育ち盛りなんだから」
「兄上こそ、また背が伸びたのでは? 追い付いたと思ったんですが……」
頭一つ分違う兄を見上げながら悔しそうに口を尖らせる