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果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択



とりあえず下船の準備をしているうちに、船は港に入る



「レオン」



久々に陸に降り立ち一息ついたところで、遠くから声が掛けられた

顔を上げたレオンは近づいて来る人物に驚いて目を見開く



「兄上! どうしてここに!?」



先ほどの不安が膨らむのを感じながらも、喜びが抑えられない



「いや、ミゲルに着いたら知らせるよう頼んでいたんだ。可愛い弟が半年でまたどれほど成長したか、早く見たくてね」

「大学は……」

「ファルツが方針転換してまだ日が浅い。父上の側で色々と学ばなくてはいけないことが多いんだよ。

それよりもっとよく顔を……」



フェリペはレオンの肩を引き寄せると、両手で彼の頬をそっと包んだ



「…少しやつれたんじゃないか……?」

「……ほとんどを船の上で過ごしますから、多少は」



レオンは軽い調子で笑ってみせる



「……そうか」



納得のいかないような顔をしつつ、その手を離すフェリペ。



「ならこの冬の間にたくさん食べないと。育ち盛りなんだから」

「兄上こそ、また背が伸びたのでは? 追い付いたと思ったんですが……」



頭一つ分違う兄を見上げながら悔しそうに口を尖らせる


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