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果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択
「この寒いのによく来るなぁお前……すぐそこに暖かい家があるってのに」
「その家にいたくないからここに来てる。ここの方がよほど温かいさ」
レオンは甲板に寝そべりながら空を見上げていた
真冬のアウスグライヒでは太陽が顔を見せることなど滅多にないが、今日は特に薄暗く曇っている
「雪でも降りそうな天気だよな」
「呑気な奴らだな。風邪をひくぞ」
下から上がってきたミゲルが二人に毛布を投げる
「お、気が利くな」
「お前の為じゃない。レオンの為だ」
ミゲルはレオンを挟んでクリスと反対側に腰を下ろした
「…お前がこんな風に逃げ出さなければ、シャルロット様だって……」
「うるさい黙れ」
「……」
こうすぐに切り捨てられては黙るしかない
「そういやミゲル、お前こんなところにいていいのか。フェリペ様の護衛は……」
「そのフェリペ様が、今日はレオンに付いていろって仰ったんだよ」
ミゲルは眉を寄せて遠くを見つめる
「最近のフェリペ様は様子がおかしい……ちょうどファルツが方針を変えた頃からだ」