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果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択
「レーテ河に遺体が上がって……それがフェリペ様ではないかと」
「…っ……!」
予想していた中で最も聞きたくなかった言葉だーーー
「護衛は……っ」
「お前以外は皆行方不明だ」
「……っ」
“フェリペ様、あなたは……”
このような事態を、予想しておられたのですかーーー
「あそこだ!」
ようやく見えてきたのは河岸に群がる人だかりと、その前で馬に跨ったまま立ち止まるレオンの姿だった
「フェリペーー! ああぁぁあ!」
人々の騒めきを引き裂く悲痛な叫び声。
聞き覚えのある女性の声だ
「母上……」
レオンはゆっくりと馬から降りると、群衆の間を掻き分けていった
「……どいてくれ…」
自然、周囲は気まずそうに目を逸らしながら彼のために道を作る
一瞬、レオンの足が止まりかける
目の前には地に這いつくばる母と、無造作に投げ出された両足。
これ以上進めばーーー
「……っ」
レオンの後について現れたミゲルは、その光景に思わず目を背けた