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果てのない海に呑まれて
第4章 赤の魔物



「ギスタール家を襲ったのも、貴方ね」

「それは違う!」



レオンの顔が俄かに怒りの色に染まる



「我々は無意味な殺生はしない。命を奪ったところで何にもならない」



そう言いながら今にも殺しそうな勢いでリリアを睨み付けている

そのままレオンは彼女の顎を掴んで持ち上げた



「……頑なな女を落とすのもまた一興だが、そろそろ降伏したらどうだ……どうせ私から逃れられはしないのだから」



馬鹿にしたような笑いについにリリアの頭に血が昇り切る

カッとなって彼の腕の間からするりと抜け出した



「貴様……っ!」



完全に油断していたレオンはすぐに手を伸ばすが彼女はそれもすり抜ける



二人は机の周りを走りドアに近付こうとしてはそれを阻みと狭い部屋の中を駆け回った


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