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果てのない海に呑まれて
第26章 歪んだ憧憬
「たとえ言葉に出して言わなくとも、あいつの伝えたいことは分かるだろう」
「……知らねぇな。あいつのことなんざ」
「相変わらず素直じゃない奴らだ」
レオンが軽く笑うと、クリスも小さく吹き出す
「リリア」
「……?」
「こいつのこと、頼む」
リリアは少し顔を赤らめながら小さく何度も頷く
「気をつけてね」
「ああ。
レオン、リリアのこと大切にしてやれよ」
「もちろんだ」
船長!と呼び声が掛かり、いよいよ別れの時が近付いた
「……これからどうするつもりだ」
「…さぁな。とりあえず二、三日後にシエラに向けて発つ予定だ」
「……」
聞きたかったのとは違う解答に、クリストフはもう何も言うことはなかったーーー
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