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果てのない海に呑まれて
第27章 愛故に。
無理もない
自分とは違い、三つか四つの頃に母と引き離されたのだ
自分が今の彼の歳の頃には、まだ母に甘えていたというのにーーー。
「……いつかきっと、分かり合える時が来るよ」
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そんな彼とは対照的に、フローラはかなりの甘えん坊だった
特にレオンには本当によく懐いていて、なぜこれほど好かれるのか彼自身にも分からないほど。
ーーー母も同じくするジェーニオが疎外感を覚えたのも無理はない
「兄上……また行ってしまうの?」
「ああ、仕事だからな」
そう言いつつもレオンの顔は遊びに行く子供そのものだ
「フェリペ兄上もミゲルも大学に行ってしまうし、一人じゃ退屈だわ……」
「ジェーンがいるだろう」
「ジェーニオ兄上は母上のものだもの」
その寂しげな表情に引き止められないこともない
それでも当時のレオンは海のことしか頭になかったーーー