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果てのない海に呑まれて
第27章 愛故に。
「この髪飾り、とっても綺麗!」
「気に入ったか?」
「ええ! 兄上大好き!」
だからこそ、彼がフローラのために旅先で土産を買ってやるのは本当に特別なことだったのだ
可愛い妹の喜ぶ姿が見られればそれで良かった
なのにーーー
「……私も兄上と一緒に海に出たいな」
まさかあんなことを言いだすとはーーー。
「……何だと?」
レオンは一年前よりさらに大人になった顔を上げて聞き返した
「もう兄上と離れるのはいや……」
以前と変わらずに煌びやかな土産を持ち帰ってくれる兄
それでも、フローラが一番見たい彼の笑顔はもう遥か遠く。
「ねぇ、フェリペ兄上が亡くなったのは兄上のせいじゃないわ。
なのにどうして……」
「……」
妹は知らないのだ
自分が船上で一体どれほどの罪を犯しているのかをーーー。