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果てのない海に呑まれて
第27章 愛故に。
「レオン、話があるの」
「……」
来たかーーー
“来て欲しくはなかったのだが”
レオンは心の中でため息を吐き、書類から顔も上げずに言った
「入る前にノックくらいしろ。それに私は今忙しい」
「ノックなんてしなくても気付いていたでしょう。
聞いて」
無理に紙を取り上げられ、書き途中だったそれに黒く細い線が出来る
「……聞く必要はない」
「え」
立ち上がりそのまま自分の横を通り抜けようとしたレオンに驚いてリリアは彼の腕を思いっきり掴んだ
「どういう意味?」
「シエラ行きを認めてやると言っているんだ」
「どうして!? そんな一方的な決め方されても納得出来な……」
バンッ
「……っ!」
「文句があるのか? では私にどうしろと!?」
「…何? どう、したの……」
彼女を壁に追い詰めるその姿は、まさしく出逢ったばかりの彼そのもので。
リリアは思わずその瞳に涙を浮かべた