この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第28章 天乱る〈ソラミダル〉
ヒュウッ
「……!」
その時、突如として冷たく激しい風が吹いた
湿気を含んだその風がみるみるうちに黒雲を運び、美しい夕日を掻き消す
「嵐、が……!?」
なぜ誰も気がつかなかったのか
いつもはすぐに勘付くレオンも、今日に限って部屋の中。
「リリア!」
それでもすぐに飛び出し、彼はリリアを探した
「レオン、大丈夫! すぐに戻るわ!」
先ほどまでの興奮が冷めていないリリアは、無謀にも梯子に足を下ろす
「馬鹿! じっとしていろ!」
レオンは急いで彼女の元に向かうが、強い風に煽られ思うように登れない
ポッ...ポッ......
ザアッ
水滴が一つ、それぞれの頰を打ったかと思うとあっという間に滝となって皆を襲った
「きゃああっ……!」
濡れた綱にリリアが手を滑らせる
再び掴むことも出来ぬまま、まっすぐに甲板へと落ちて–––