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果てのない海に呑まれて
第29章 ヨイノトキ
思ってもみなかった言葉にミゲルは目を瞬いた
「ヘレーネ! お客!」
「はーい!」
扉の外からお呼びがかかり、ヘレーネもそれに大声で返す
「じゃあね、ミゲル。
あたしを抱く気になったらまたいつでも来なよ」
「あ、おい……」
長い髪を振って出て行くヘレーネ。
「……」
所詮自分など特別には程遠い、か
「…クッ」
ミゲルは自嘲気味に笑うと窓から見える海を眺めながらただひたすらに杯を仰いでいた–––
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「リリア」
「ん?」
「今晩は用事がある。お前はこの船で待っていろ」
「……」
何を言ったところで無駄だろう
それでも–––
「私はいつ連れて行ってもらえるの?」
「……」