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果てのない海に呑まれて
第29章 ヨイノトキ
「しかし護衛ですか……確かに必要でしょうが、ここに側付きを一人残していけばそれはそれで不自然なのでは?
ここに誰かいると教えるようなものです」
「そういう考えもあるが……」
ではこうしましょう、とルチアーノはさらに提案する
「貴方を屋敷に送り届けたらすぐに護衛を借りリリア様の元へ向かわせましょう」
「それは大いに問題があるだろう。それに私は奴らを信用していない」
「それは貴方に後ろ暗いところがあるからでしょう」
「……」
このルチアーノという男、父親が当主の側付きで幼い頃から知っているが、どうも意地の悪いところがある
「…ハァ、分かりました。では私がすぐにここに戻り貴方の護衛を彼らに任せる、と。
これで良いですか?」
「ああ」
「……全くワガママな坊ちゃんだ……」
「何か言ったか?」
「いいえ? 何も申しておりませんが」
レオンはもう一度彼をひと睨みするも、結局フンと鼻を鳴らしただけでさっさと歩き出した