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果てのない海に呑まれて
第30章 主の姿
「オレたちはずっとあんたを探してた。長が…長の息子が必ず生きているはずだと……」
「長の息子……名前は」
「リー」
自分の質問に対する答えを聞いて、リリアはミゲルに目を移した
「彼は大丈夫。私たちの味方よ」
「……なぜ言い切れる」
「ケチュア人はずっとギスタール家と親交を持っていた。それにリーは私も幼い頃から知っているわ」
「ギスタール家が滅んで敵に寝返った可能性だってある」
「彼はそんなことしない!」
「……っ!」
傷ついたような顔ではっきりとそう言われ、ミゲルの心臓が軋んだ
「……」
男の顔とリリアの顔とを交互に見比べる
「……ハァ」
そして小さくため息をついた
俺には人を見る力がない
レオンは会った瞬間に相手が敵か味方か嗅ぎ分ける
言葉を交わせば、どの程度の者かさえ–––